難読地名の丘の上に、九州屈指の進学校がある
突然だが、この地名を読めるだろうか。西彼杵郡時津町左底郷。九州出身か、近くに縁のある人なら読めるかもしれない。正解は「にしそのぎぐん とぎつちょう さそこごう」だ。
長崎といえば出島や坂道の街という印象が強いが、大村湾を挟んでハウステンボスの向かい側、小高い丘の上に青雲中学校・高等学校はある。アクセスは決して便利とはいえないが、全国から生徒が集まる理由がある。この学校が叩き出す進学実績、とりわけ医学部合格者数は、全国トップクラスだ。
「共学版ラ・サール」──九州における立ち位置
九州の受験界では、ラ・サール高校(鹿児島)・久留米大学附設(福岡)・青雲(長崎)が私立進学校の三強として知られている。青雲はしばしば「共学版ラ・サール」とも呼ばれる。ラ・サールが男子校であるのに対し、青雲は共学であり、男女ともに受け入れる点が大きな違いだ。
学校の規模は中高一貫で、中学からの入学者が約200名(男子150名・女子50名)、高校からは50名程度が加わる。男子には寮が完備されており、女子は下宿生活を送る生徒も多い。スクールバスも充実しており、丘の上という立地ながら通学手段は整っている。
偏差値は75。長崎県内では群を抜く1位であり、全国でも上位1〜2%に位置する。久留米附設・ラ・サールを第一志望とする受験生が「滑り止め」として受けるケースも多いが、それだけ母集団の質が高いという側面もある。
進学実績──医学部に特化した数字の重み
青雲高校の最大の特徴は、医学部合格者数の多さだ。卒業生約200名という規模で、毎年50〜80名以上が医学部医学科に合格する。これは卒業生の4人に1人以上が医師の卵になる計算だ。
| 年度 | 東京大学 | 京都大学 | 医学部医学科(全体) | うち国公立医 |
|---|---|---|---|---|
| 2025 | 6名(理Ⅲ1名) | 5名(医学部2名) | 84名 | 51名(現役29名) |
| 2024 | 7名 | 3名 | 約50名 | - |
| 2023 | 3名 | 2名 | 約50名 | - |
2025年の国公立医学部合格者数51名は、全国ランキングでも上位に食い込む水準だ。東大合格者数こそラ・サールや附設に劣るが、医学部という軸では九州随一といっても過言ではない。当サイトの指標ではPFPスコア138.9を記録しており、卒業生規模に対する進学効率の高さが数字に表れている。
6年一貫カリキュラム──東大・医学部から逆算した設計
青雲高校の学習カリキュラムは、東大・国公立医学部合格から逆算して設計された6年一貫の体系だ。中学入学時から高3まで、各学年で何をどこまで仕上げるかが明確に定められており、先取り学習が前提となっている。
高校3年生になると、東大コース・医学部コースに特化したカリキュラムへ移行する。生徒の志望に応じて授業が組まれ、習熟度別のクラス編成も取り入れられている。毎月定期テストか実力テストが実施され、勉強時間を記録する冊子が配られるなど、学習管理の徹底ぶりは際立っている。
近年、東大への累計合格者数が600名を超えた。この数字は、青雲が一時的な結果ではなく、長年にわたって結果を出し続けてきたことを示している。
スマホ禁止・恋愛禁止──寮生活の実態
男子寮の生活は、想像以上に徹底している。スマホは禁止、恋愛も厳しく制限される。男女が行動を共にするだけで厳重注意の対象となり、重なれば退学命令の書類を書かされるケースもあるという。かつての灘高専門のスパルタ塾「入江塾」を彷彿とさせる環境だ。
決まった時間に自習室へ集まり、毎日の勉強時間を記録する。外部の誘惑が極限まで排除されたこの環境を「窮屈だ」と感じる生徒がいる一方で、「スマホがない分、無駄な時間が減った」「苦楽を共にした寮の仲間は一生の財産だ」という声も少なくない。
賛否はある。だが少なくとも、この環境が医学部合格者数という形で結果に直結していることは、数字が証明している。
長崎から全国へ──青雲が選ばれる理由
青雲高校に通う生徒は長崎県内だけでなく、熊本・大分・佐賀など九州各地から集まる。ラ・サールが男子校であること、久留米附設が福岡に位置することを考えると、「共学で九州内、かつ医学部に強い」という条件を満たす学校として、青雲は独自のポジションを確立している。
医師を目指す子どもを持つ親にとって、青雲高校はひとつの「確実な選択肢」だ。スパルタと呼ばれる環境でも、入学希望者が絶えない理由はそこにある。長崎の丘の上から、毎年数十人の医師の卵が巣立っていく。
本記事は、青雲高校の進学実績や教育方針をもとに構成した分析記事です。実績データは各種公開情報をもとにしており、詳細は必ず学校公式HPをご確認ください。

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