2026年度の東大合格発表が出た。今年は英語・数学ともに難化、特に数学は「超難化」と言っていいレベルだったらしく、数学を武器にしていた層にとってはかなり苦しい年だったのではないかと思っていた。難化によって常連校に変化が出るのか、女子や地方を増やしたいという東大側の意図がどう数字に出るのか──蓋を開けてみれば、上位校にとって難化がむしろ有利に働いたようだ。
考えてみれば当然かもしれない。問題が難しくなればなるほど、地力のある学校との差は開く。地方の公立校がついてこれなくなるのは自明で、「多様化」を狙った施策が結果的に伝統校の牙城をより強固にするという皮肉な結果になった。
2026年東大合格者数ランキング(速報・筑駒除く)
| 順位 | 学校名 | 所在地 | 種別 | 合格者数 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 開成高等学校 | 東京都 | 男子校 | 197名 |
| 2 | 灘高等学校 | 兵庫県 | 男子校 | 95名 |
| 3 | 聖光学院高等学校 | 神奈川県 | 男子校 | 93名 |
| 4 | 渋谷教育学園幕張高等学校 | 千葉県 | 共学 | 82名 |
| 5 | 麻布高等学校 | 東京都 | 男子校 | 77名 |
| 6 | 西大和学園高等学校 | 奈良県 | 共学 | 75名 |
| 7 | 東京都立日比谷高等学校 | 東京都 | 共学 | 67名 |
| 8 | 桜蔭高等学校 | 東京都 | 女子校 | 60名 |
| 9 | 栄光学園高等学校 | 神奈川県 | 男子校 | 47名 |
| 10 | 海城高等学校 | 東京都 | 男子校 | 45名 |
※前年PFP1位の筑波大学附属駒場高等学校は集計中。トップ3は前年同様の見込み。
開成197名──45年連続1位の重み
開成の197名には驚いた。在校生からこの世代は優秀という話は聞いていたが、まさかここまでとは。これで45年連続東大合格者数1位だ。
「鉄緑会のおかげ」という声もある。確かにその貢献は小さくない。だがそれだけで説明できる数字ではない。学校の力、言い換えれば集団の力が間違いなく存在している。優秀な生徒が集まり、互いに切磋琢磨する環境が6年間続けば、個の能力を超えた何かが生まれる。開成はその典型だと思う。当サイトのAUSランキングでも、今回の結果を受けて開成が突き抜けてトップになることはほぼ確定だ。
灘は別格、という話
上位校の顔ぶれはほぼ例年通りだが、灘はやっぱり突き抜けている。卒業生220名強で東大・京大を合わせて140名前後、そこにイェール大や国公立医学部の合格者も多数加わる。毎年のこととはいえ、改めて数字を見ると壁の高さを実感する。
東大の「別腹」である理科三類の話をすれば、開成・灘・(発表待ちの)筑駒の三強はさておき、桜蔭の8名、ラ・サールの6名はさすがという一言に尽きる。全体の合格者数よりも理三の数に学校の底力が凝縮されている気がしてならない。
そういう意味では暁星高校の話も触れておきたい。東大合格者4名中3名が理科三類というのはかなり異常な数字だ。暁星といえば北大路欣也さんや香川照之さん、有名歌舞伎俳優を多数輩出している学校で、小学校受験の文脈で名前を知っている方も多いかもしれない。今年は難化した英語を避けて得意な仏語で受験した生徒がいたという噂もあるが、それだけで理三に受かるわけもなく──何か説明のつかない、ハンガリーに突然天才数学者が続出したあの現象のようなものが起きたとしか思えない。
神奈川公立に異変──翠嵐が急落、湘南が躍進
上位こそ代わり映えしないが、神奈川の公立に面白い動きがあった。昨年74名という驚異的な数字を叩き出した横浜翠嵐高校が30名以上合格者を減らした一方、同じ公立の湘南高校が38名と前年比20名以上の上積みを見せた。
言い方は悪いが、昨年の翠嵐74名には浪人組の貢献が少なくなかったはずで、その在庫が今年は湘南側で捌けた──そういう見方もできなくはない。ただ湘南38名という数字は立派だ。公立校として十分すぎる実績だと思う。
巣鴨が13名で大復活
昨年合格者数1名と心配された巣鴨高校が、今年は13名と大復活を遂げた。天国にいる堀内元校長の檄が飛んだのか、地頭の良い算数選抜組が結果を出したのかは定かでない。ただ全体で危機感を持って取り組めば、実力校はやはり結果を出す。そういうことだと思う。
一つ気になるのは、13名中8名が文系という点だ。医師を目指す生徒が多い学校のカラーからすると少し意外で、何が何でも合格者数を回復させるという意思が働いた結果だったのかもしれない。
女子比率20.3%──「多様化」の現実
今年の合格者2990名中、女子は606名で女子比率は20.3%。前年の20.0%からわずかに上昇した。理一類の女子比率は9.4%にとどまり、理系での女子増加はまだ道半ばというところだ。
数学を超難化させてでも多様化を促したかった東大の意図はわかる。だが結果を見れば、難化は伝統校の上位独占をより強固にし、地方公立や女子の比率を大きく動かすには至らなかった。この問題の根は入試の難易度よりずっと深いところにある。
※本記事は2026年3月時点の速報データをもとにしています。筑波大学附属駒場高等学校の最終データが出次第、ランキング・AUSスコアを更新予定です。

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